芸術は、単に好き嫌いだけではなく、その背景や世界感、民族の歴史を踏まえないと、正しくは理解できない。教授は西洋の芸術、作品を示しながら、そのことを言われていた。これは日本の芸術だって、どこの文化圏の芸術だって同様だろう。茶道美術といわれるものにしても、軸や花にこめる意図を理解し、作り上げたもてなしの世界を正しく受信するには、受け取る側にも素養がいる。そういう遊びじゃないかと思う。
個性の発揮こそが芸術だという論調が多い中、それはわずかな期間の話に過ぎないという教授の主張は痛快だ。少なくとも4万年...
「芸術とは何か 見方、味わい方」カテゴリ内の記事を表示しています。
エジプトの美術について教授が論述されていたことは、なんというか感動すら覚えたw 3000年変わらないエジプト芸術の特徴は、個性の発露などを目的としたのではなく、神に向かっていたからだ・・と。なるほど・・と納得させられる。もっとも好き嫌いは別の話だ。エジプトの話で思い出したことがある。日本の鍋島とか九谷焼とか藩の主力産業として徹底した品質管理、技法の漏洩を防ぐことに努力していたと言われる。精緻で極めて高度な技法で見事なものなんだけど、好き嫌いでいうと、やっぱり好きじゃないw 美術館でみるにはいいだ...
シャンディイのコンデ美術館については、今回の講義で初めて知った。いわば個人美術館だ。日本でいえば、出光とか、根津とか、五島とか。大阪の東洋陶磁も、市立ではあるが、個人のコレクションをベースにしているという意味では、コレクションがそのコレクターの人間を語る個人美術館である・・とも言えるだろう。さて、シャンディイのコンデ美術館のコレクションを1代で集めたオーマル候は、遺言をしっかり残したという。展示の方法も、貸し出しも一切禁止。壁への絵画の並べかた、おき方も含め、指定どおりにせよ、変えるな・・・と。...